【令和8年度】北海道の最低賃金が「1,131円」に決定│札幌の石神社労士事務所

監修:石神 真(石神社会保険労務士事務所)

(8月6日追記)
2026年度の北海道の地域別最低賃金について、8月5日北海道地方最低賃金審議会より答申が行われました。
今回の改定により、道内の最低賃金(時給)は現在の1,075円から56円引き上げられ、1,131円となります。道内で1,100円台を突破するのは初めてで、昨年度(65円)に次ぐ高水準の引き上げとなりました。順調に進めば10月1日より適用される見通しです。



令和8年7月28日、中央最低賃金審議会は令和8年度の地域別最低賃金額改定の目安を答申しました。北海道はBランク(目安引上げ額56円)に区分されており、現行の北海道最低賃金1,075円に56円を加えると、目安額は1,131円となります。

ただし、これはあくまで国が示す「目安」です。実際の金額は、この目安を参考にしつつ、今後開催される北海道地方最低賃金審議会での賃金実態調査や地域の意見を踏まえた審議を経て、北海道労働局長が正式に決定します。例年、北海道の改定は10月上旬に発効しており、令和8年度も同様のスケジュールが見込まれます。

                 令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について

全国の改定額の一覧 (9月3日更新)

・全国最高は東京の1280円。全国最低は宮崎の1,085円。地域間格差は前年度の203円から195円になり昨年度より8円縮まる。
・47都道府県で54円~65円の引き上げ
・引上げ額最大は佐賀で65円
・全国の引き上げ額は過去最高だった令和7年度の66円に次いで過去2番目

目次

北海道最低賃金額の推移

令和4年度令和5年度令和6年度令和7年度令和8年度
最低賃金額920円960円1,010円1,075円1,131円
対前年引上額31円40円50円65円56円
対前年引上率3.49%4.35%5.21%6.44%5.21%

経営者・人事担当者が今から確認すべきポイント

1 最低賃金の適用は発効日までに対応が必要

最低賃金の引き上げに伴う労働条件の改定は、発効日までに準備・手続きを行う必要があります。実際の給与支払い自体は発効日を経過した後(例:翌月支給など)でも構いません。たとえば北海道であれば、10月1日までに雇用契約書等を結び直し、10月1日以降の勤務分から改定された賃金を適用します。
さらに、社内の給与計算システムや勤怠管理ソフトの設定変更漏れにも注意が必要です。改定作業が遅れて旧賃金のまま支払ってしまうと最低賃金法違反となり、遡及支払いの手間が生じるだけでなく企業の信頼低下にもつながるため、早めのスケジュール変更・対応を進めましょう。

2 時給・月給制の従業員の賃金水準 

 現在の時給が1,131円を下回る場合、改定発効までに引上げが必要です。月給制の従業員についても、所定労働時間で割り戻した金額が最低賃金を下回っていないか確認しましょう。

3 最低賃金の対象から除外される手当の再点検

最低賃金の比較対象には、すべての手当が含まれるわけではありません。
「総支給額を労働時間で割れば最低賃金をクリアしている」という勘違いによる違反事例が後を絶ちません。例えば、基本給を低めに設定し、皆勤手当や通勤手当、固定残業手当などを手厚く支給している賃金体系の場合、除外対象となる手当を差し引くと実質的な時給単価が最低賃金を下回ってしまう危険性があります。自社の給与規程に定められた手当の性質を正しく分類し、比較対象となる「純粋な対象賃金」のみで再計算を行いましょう。
除外される手当: ①精皆勤手当、②通勤手当、③家族手当、④時間外・休日・深夜手当、⑤臨時の賃金、⑥1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)など。

4 固定残業代(みなし残業手当)の再計算と見直し

基本給を最低賃金に合わせて引き上げた場合、割増賃金の算定基礎となる単価も上昇します。そのため、設定している固定残業代(みなし残業手当)の定額が、改定後の単価で計算した実際の割増賃金相当額を下回ってしまうリスクが生じます。改定後の時給単価をもとに、固定残業代が法的な必要額を満たしているか再計算が必要です。不足が生じる場合は、固定残業代の支給額を引き上げるか、みなし時間数の見直しが必要です。

5 最低賃金引上げに伴う社内の「賃金バランス崩れ」に注意

最低賃金の引上げに際し、対象者のみ賃金を調整すると、一般社員とパートタイマーの賃金差が縮小します。その結果、勤続年数や職務内容に応じた賃金バランスが崩れ、「責任と給与が見合わない」といった既存社員の不満や離職に繋がる恐れがあります。

単に最低賃金をクリアするだけの対応にとどめず、社内の賃金表や昇給ルール全体を含めた見直しを行い、社員全体の納得感を高める賃金設計を進めることが大切です。

6 求人票・募集広告の記載賃金

ハローワークや求人サイトに掲載中の募集要項が、改定後の金額に対応しているか見直しが必要です。
発効日以降に勤務を開始する求職者に対しては、改定後の最低賃金額以上の条件を提示しなければなりません。募集期間が改定時期をまたぐ場合、旧金額のまま掲載を続けると「提示条件と異なる」として求職者とのトラブルや不採用・内定辞退の原因となります。ハローワークをはじめ、有料求人サイトや自社採用ホームページの記載事項を洗い出し、改定日に合わせてスムーズに修正できるよう、事前に掲載内容の更新手配を済ませておきましょう。

9月1日から申請開始:業務改善助成金など支援制度の活用

 最低賃金の引き上げに伴う生産性向上の取り組みには、国の「業務改善助成金」をはじめとする各種支援制度が活用できます。設備投資や賃金引き上げ計画とあわせて、早めの情報収集をおすすめします。

 業務改善助成金とは、事業場内で最も低い賃金を引き上げ、あわせて生産性向上のための設備投資を行った場合に費用の一部が支給される制度です。 たとえば北海道の場合、令和8年度の最低賃金は1,131円となります。現在、時給換算で1,130円以下の従業員がいる事業所は対象となる可能性があります(例:1人あたりの時給を100円引き上げる場合、助成率は最大4/5、上限額100万円まで助成されます)。

 特に注意したいのが「申請時期」です。受付は9月1日から開始されますが、締め切りは「最低賃金の発効日の前日」までとなります。北海道では10月1日の発効が予定されているため、実質的な申請期間は約1か月しかありません。
 申請開始後に準備を始めたのでは間に合わない可能性が高いため、今のうちから情報収集と事前の準備を進めておくことが重要です。

(参考)業務改善助成金

 地域別最低賃金に近い従業員がいる場合、国の助成金として、企業の賃金げや設備投資を支援する制度として「業務改善助成金」が広く活用されています。令和8年度のポイントについて解説していますので、ご参照ください。

月給○万円は北海道の最低賃金を下回る?

「月給で給与を支払っているから、最低賃金は関係ない」と考えていませんか?
最低賃金は、時給制だけでなく月給制の従業員にも適用されます。月給制の場合は、最低賃金の対象となる賃金を1か月平均の所定労働時間で割り、1時間あたりの賃金に換算して確認します。

例えば、令和8年度の北海道最低賃金が答申どおり1,131円となった場合、1日8時間・年間休日105日の会社では、1か月平均の所定労働時間は約173.3時間となります。

この場合、最低賃金1,131円を満たすためには、単純計算で月額約196,000円以上が一つの目安となります。

月給時給換算判定
170,000円約981円❌ 下回る
180,000円約1,038円❌ 下回る
190,000円約1,096円❌ 下回る
196,000円約1,131円○ ほぼ最低ライン
200,000円約1,154円○ 上回る
210,000円約1,212円○ 上回る
220,000円約1,269円○ 上回る

※「月給÷1か月平均の所定労働時間」で単純計算した場合の目安です。
ただし、月給の総額だけで最低賃金を判断することはできません。
最低賃金の計算では、通勤手当、家族手当、精皆勤手当、時間外・休日・深夜労働に対する賃金など、対象から除外される賃金があります。
また、固定残業代がある場合も注意が必要です。
そのため、「月給20万円だから大丈夫」と単純に判断するのではなく、基本給や各種手当の内容、固定残業代、所定労働時間などを確認したうえで最低賃金を計算することが重要です。
「自社の月給が北海道の最低賃金を下回っていないか確認したい」という場合は、給与明細や雇用契約書などをもとに、一度確認してみましょう。

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まとめ

正式決定は今後の審議を経てからとなりますが、目安額が示された今の時点から準備を始めることで、10月の改定に落ち着いて対応できます。賃金体系の見直しや助成金活用でお困りの際は、当事務所までお気軽にご相談ください。

参考:全国的な動向

全都道府県で答申どおり最低賃金が改定されると、全国加重平均は1,177円になります。上昇額は56円で、昨年度の66円と比べるとやや小幅ですが、引上げ率は4.9%と高い水準が続いています。北海道を含むBランクは28道府県と最多であり、全国的に見ても同水準の引上げが広がる年度といえます。地域間の賃金差や人材確保競争にも影響する可能性があるため、近隣都府県の動向もあわせて注視しておくと安心です。

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