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令和8年度キャリアアップ助成金についてのポイント│札幌の石神社労士事務所が解説
令和8年度のキャリアアップ助成金の詳細が公表されました。
正社員化コースに情報公表加算(中小企業20万円・大企業15万円)が新設され、正社員への転換実績などを自社サイトや「しょくばらぼ」に公表した事業主が追加で受給できるようになっています。また、令和7年度末で社会保険適用時処遇改善コースが廃止となった点も見落とせません。
札幌を拠点とする石神社会保険労務士事務所では、北海道内の事業主様からキャリアアップ助成金に関するご相談を多数いただいています。本記事では、令和8年度の変更点を中心に、申請要件・注意点を解説します。
北海道・札幌で社労士をお探しの方へ。当事務所のサポート内容はこちらからご覧いただけます。
キャリアアップ助成金とは
キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者(有期契約、パート、派遣社員など)の待遇改善や正社員転換を推進する事業主を支援する、厚生労働省管轄の制度です。人手不足の解消や雇用の安定を目的に、多くの企業で活用されています。
1 制度の目的と全体像
この制度は、非正規雇用の方々のキャリア形成を促進し、企業全体の生産性を高めることを狙いとしています。単に給料を上げるだけでなく、「正社員への転換」や「処遇の改善(賃上げ・賞与の導入)」といった具体的なアクションに対して助成が行われます。
2 代表的なコースと支給内容
特に活用されているのは以下のコースです。
- 正社員化コース 有期雇用労働者を正社員へ転換させた場合に支給されます。中小企業の場合、対象者1人につき80万円(雇い入れから3年未満の有期雇用を正社員化するときは40万円)が基本額となり、初めてキャリアアップ助成金を計画を立て、正社員転換制度を新たに規程した場合などは加算もあります。
- 賃金規定等改定コース すべての非正規雇用労働者の基本給を一定割合(3%以上など)引き上げた場合に支給されます。
- 賞与・退職金制度導入コース 非正規雇用労働者を対象に、賞与や退職金制度を新たに設けて支給した場合に助成されます。
3 受給のための主な要件
助成金を受け取るためには、以下のステップを正確に踏む必要があります
- キャリアアップ計画の作成・届出: 取組を実施する前に、管轄の労働局に計画書を届出しチェックを受ける必要があります。
- 就業規則への明記: 正社員への転換規定や、賃金改定のルールが就業規則に整備されていることが必須です。
- 適切な運用と支給申請: 転換後、6ヶ月分の賃金を支払った後に申請を行います。この間、残業代の未払いがないか、社会保険に適正に加入しているかといった法令順守も厳しくチェックされます。
当事務所では、札幌を中心に助成金申請サポートを行っています(全国対応可能です)。詳しくは
令和8年度 キャリアアップ助成金の主な変更点(2026年度)
令和8年4月8日に令和8年度のキャリアアップ助成金の詳細が発表されました。大きな変更点として
①正社員化コースで情報公表した場合、20万円(大企業は15万)加算されます
令和8年度から正社員化コースに「情報公表加算」が新たに設けられました。これは、有期雇用労働者等の正規雇用への転換等に関する情報を、自社ウェブサイトまたは職場情報総合サイト(しょくばらぼ)に公表した場合に受けられる加算です。
支給額は中小企業で20万円、大企業で15万円(1事業所あたり1回限り)。正社員化コースの基本助成額に上乗せして受給できるため、令和8年4月8日以降に転換等を行う事業主は必ず確認してください。
【要件】
①正社員化コースのみが対象
②職場情報総合サイト(しょくばらぼ)又は自社のウェブサイトで公表を行うこと
③ウェブサイトへの公表日がキャリアアップ計画期間中かつ、支給申請日までであることが必要
④支給申請日から少なくとも支給申請事業年度の終了まではサイト上で公表を継続すること
⑤各事業所1回限り(20万)であること
【公表内容】
①制度の公表:手続き、転換の要件、実施時期
②直近の3事業年度に、有期雇用労働者等を正規雇用労働者として直接雇用した数
③直近の3事業年度に、有期雇用労働者等の編入日から、正規雇用労働者への転換するまでの平均期間及び最短の期間


②「短時間労働者労働時間延長支援コース」の新設に伴い「社会保険適用時処遇改善コース」廃止
社会保険適用拡大に伴う助成金で、令和7年まで「社会保険適用時処遇改善コース」がありましたが、令和7年7月に「短時間労働者労働時間延長支援コース」が新設されたため令和8年度以降は社会保険適用時処遇改善コースは適用されませんのでご注意ください
新コースは、パート労働者等の社会保険加入を「1年目」と「2年目」の2段階で支援する点が最大の特徴です。
その他の変更点は、リーフレットだけ見ると昨年と内容は同じにであり大きな変更点はありません。Q&Aを見ましても大きな質問事項が追加されたものはなく、軽微な説明がいくつか追加ととなっているだけです。
「社会保険適用時処遇改善コース」は令和8年3月末で終了し、その機能は令和7年7月新設の「短時間労働者労働時間延長支援コース」へ一本化・拡充されました。
新コースは、パート労働者等の社会保険加入を「1年目」と「2年目」の2段階で支援する点が最大の特徴です。
「短時間労働者労働時間延長支援コース」と「社会保険適用時処遇改善コース」比較
実質的な処遇改善へのシフト 旧コースにあった「手当支給のみ」の暫定措置から、「労働時間の延長」による実質的な収入増とキャリア形成を主軸とした恒久的な制度へと再編されました。
2段階の支援構造 1年目に労働時間延長で社会保険に加入させ(最大50万円)、2年目にさらなる延長や5%以上の賃金増額等を行うと追加(最大25万円)で助成されます。単発の加入だけでなく、長期的な定着とキャリアアップを重視する設計に変わりました。
「小規模企業」区分の新設 常時雇用30人以下の事業主向けに、通常の中小企業よりも手厚い助成額が設定されました。最大計75万円(小規模以外の中小は計60万円)となり、小規模事業所の負担軽減が強化されています。
【2026年】賃上げをした北海道の事業者様へ|設備投資費用を最大300万円補助
賃上げに取り組んだ(または取り組む予定の)北海道の中小・小規模事業者様向けに、北海道独自の支援制度が実施されています。
設備投資・機械リース・運搬費などの費用が最大300万円(補助率最大3/4)補助されます。受付期間は2026年9月30日までですが、予算上限に達し次第終了となりますのでご注意ください。
キャリアアップ助成金 申請時の注意点5選│札幌・北海道の石神社労士事務所が解説
まず要綱の内容を確認した上で、実務的に重要な注意点を5つ整理します。
1.キャリアアップ計画書は「コース実施日の前日まで」に提出必須
申請で最も多いミスが、計画書の提出タイミングです。転換や賃金改定などの「コース実施日の前日」までに管轄労働局長へ提出していなければ、要件を満たさず不支給になります。休日が前日に当たる場合は翌営業日が締切となりますが、余裕をもって早めに提出することを強くお勧めします。計画期間は3年以上5年以内で設定が必要です。
2.賃金を「3%以上増額」していることの証明が必要
正社員化コースでは、転換後6か月間の賃金が転換前6か月間と比べて3%以上増額していることが支給要件です。比較は原則「所定労働時間1時間当たりの賃金」で行います。賃金台帳や出勤簿をもとに計算ツールで確認しておきましょう。
3.支給申請期間は「賃金支給日の翌日から2か月以内」と厳格
支給申請期間を過ぎると原則として申請できなくなります。各コースとも、支給対象期分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内が申請期限です。時間外手当を翌月払いにしている場合は、その手当が支給された日が起算点となるため、自社の賃金支払いルールを事前に整理しておくことが重要です。
4.転換前6か月以内の「解雇・勧奨退職」があると不支給
転換日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間に、事業主都合による解雇や勧奨退職があった場合は助成金が支給されません。
5.対象労働者が「転換前から正社員雇用を約束されていた」場合は対象外
正社員化コースの対象となるのは、あくまで有期雇用や無期雇用の状態から自社の転換制度を通じて転換した労働者です。採用時点ですでに正社員雇用を約束して雇い入れた労働者は対象外となります。雇用契約書の文言や採用経緯が審査で確認されますので、契約書類の整備と記録の保管を徹底してください。
キャリアアップ助成金以外にも、時間外の削減や年休促進の制度を設け労務効率の増進に資する設備投資の導入を支援する制度として「働き方改革推進支援助成金」が広く活用されています。
令和8年度のポイントについて解説していますので、ご参照ください。
最後に
キャリアアップ助成金は計画書を提出し、その計画に基づいて実施されなければなりません。10人未満の事業所であっても就業規則の作成は義務となります。キャリアップ管理者の選定や、正社員化コースでは賃金の額または計算方法が正規雇用労働者と異なる雇用区分の就業規則を通算6か月以上受けて雇用される有期雇用労働者であることなど様々な受給するための要件があります。
計画を提出してから、受給できるまでは1年数か月かかるため短期的に計画書を提出するのではなく、まずは申請書類や賃金台帳や出勤簿などといった必要な提出書類がどのようなものがあるのかと調べることからおすすめいたします。
キャリアアップ助成金以外にも、企業の賃金げや設備投資を支援する制度として「業務改善助成金」が広く活用されています。令和8年度のポイントについて解説していますので、ご参照ください。

従業員が10人未満の事業所ですが、就業規則の作成・届出は必須ですか?
必須です。 労働基準法上は10人未満であれば届出義務はありませんが、本助成金の申請には「転換規定」等が明記された就業規則が必要です。
事業主と「密接な関係」にある親族を転換させた場合、助成対象になりますか?
事業主の配偶者や3親等以内の親族などは、原則として支給対象外となります 。
キャリアアップ計画書はいつまでに提出すればよいですか?
各コースの取組(正社員化や賃金規定の改定など)を実施する前日までに、管轄の労働局へ届け出る必要があります
「重点支援対象者」とはどのような人を指しますか?
以下のいずれかに該当する労働者を指します 。
・派遣労働者、母子家庭の母等、特定の訓練修了者
・雇入れから3年以上の有期雇用労働者
・雇入れから3年未満で、過去5年間に正規雇用期間が合計1年以下、かつ過去1年間に正規雇用されていない有期雇用労働者
重点支援対象者とそれ以外で、支給額はどのように変わりますか?
中小企業の場合、有期から正規への転換で重点支援対象者は80万円(2期分割)ですが、それ以外の者は40万円(1期)となります 。対象者によって助成額が大きく異なるため注意が必要
新卒採用してすぐに正社員転換した場合、助成金はもらえますか?
令和7年4月以降、新規学卒者(卒業年度の3月31日までに内定を得た者など)で、雇入れから1年未満の者は支給対象外となります 。これは、本来最初から正規雇用できる者を助成金目的で有期雇用することを防ぐための措置です 。
正社員転換後の「3%以上の賃金増額」は、残業代を含めて計算してもよいですか?
いいえ、残業代(超過勤務手当)は比較対象の賃金に含まれません 。基本給や役職手当など、月によって変動しない「固定的賃金」での比較が原則です 。
試用期間中の労働者を正社員転換した場合、助成金の対象になりますか?
試用期間は「有期雇用期間」としてカウントされません 。当初から正社員として雇用され、試用期間を設けている場合は「正規→正規」の移動とみなされ、助成金の対象外となります 。
「無期雇用労働者」から正社員へ転換した場合の支給額はどうなりますか?
令和7年4月以降の取組では、中小企業の場合、重点支援対象者は40万円、それ以外の者は20万円が支給されます 。
助成金で受け取ったお金の使い道に制限はありますか?
使い道に制限はありません。 会社の運転資金や設備投資、従業員の福利厚生など、事業主が自由に活用できます。
社労士などの専門家に依頼せず、自社だけで申請できますか?
可能です。ただし、申請書類の作成や就業規則の整備、賃金計算のチェックなど非常に細かい作業が伴います。不備があると一切支給されないリスクがあるため、社内に労務の専門担当者がいない場合は、社会保険労務士への相談が一般的です。
キャリアアップ助成金の受給相談|札幌の石神社会保険労務士事務所
令和8年度のキャリアアップ助成金は、早めの準備が受給のポイントになります。受給の可否や申請要件の確認だけでも、札幌の石神社会保険労務士事務所が丁寧にサポートいたします
(全国対応可能です)
※ 初回のご相談は無料で承っております。
